はじめての障害者雇用
障害者手帳の種類と等級で就職はどう変わる?広島市での申請窓口・必要書類・取得を迷う方へ

障害者雇用枠で働くには、原則として障害者手帳が必要です。ただ、「自分はどの手帳の対象になるのか」「等級によって就職に差が出るのか」「広島市ではどこで申請するのか」は意外と知られていません。この記事では、3種類の手帳の違いと広島市での申請窓口・必要書類、そして就職への影響をまとめました。手帳をまだお持ちでない方が「取るかどうか」を考える材料にもなるよう、メリットと注意点も整理しています。
障害者手帳は3種類
| 手帳 | 対象 | 等級・区分 | 広島市の申請窓口 |
|---|---|---|---|
| 身体障害者手帳 | 目・耳・平衡・音声言語・そしゃく・肢体(上肢・下肢・体幹)・心臓・じん臓・呼吸器・ぼうこう・直腸・小腸・免疫・肝臓の機能に障害がある方 | 1級〜6級 | 各区役所 厚生部福祉課 |
| 療育手帳 | 知的機能の障害が発達期(おおむね18歳まで)に現れ、日常生活に支障がある方 | 広島市はⒶ(最重度)・A(重度)・Ⓑ(中度)・B(軽度)の4区分 | 各区役所 福祉課(判定は18歳以上が知的障害者更生相談所、18歳未満が児童相談所) |
| 精神障害者保健福祉手帳 | 精神障害(統合失調症、うつ病などの気分障害、発達障害、てんかん、高次脳機能障害など)のために長期にわたり日常生活・社会生活に制限がある方 | 1級〜3級 | お住まいの区の保健センター(福祉課障害福祉係)。郵送申請も可 |
身体障害者手帳
身体障害者手帳は、指定医が作成した診断書をもとに交付されます。等級は1級(最も重い)から6級までで、広島市では各区役所の厚生部福祉課に申請します。必要書類は、指定医の診断書、最近1年以内に撮影した上半身の写真(縦4cm×横3cm)2枚、本人確認書類、個人番号がわかる書類、交付申請書です。
療育手帳
療育手帳は知的障害のある方の手帳で、自治体によって区分の呼び方が異なります。広島市の程度区分は、最重度がⒶ、重度がA、中度がⒷ、軽度がBの4段階です。目安として、知能指数がおおむね35以下で重度、36〜50で中度、51〜75で軽度とされ、日常生活で常時支援が必要かどうかや身体障害の合併によって区分が上がることがあります。判定は18歳以上の方が知的障害者更生相談所(082-263-3695)、18歳未満の方が児童相談所(082-263-0694)で行い、申請はお住まいの区役所福祉課です。
精神障害者保健福祉手帳
精神障害者保健福祉手帳は、統合失調症、うつ病や双極性障害などの気分障害、発達障害(自閉スペクトラム症、ADHDなど)、てんかん、高次脳機能障害などが対象で、1級から3級までの等級があります。広島市ではお住まいの区の保健センター(福祉課障害福祉係)に申請し、郵送でも受け付けています。
申請には、初診日から6か月を経過した日以降に作成された診断書兼意見書が必要です(新規申請は申請日の3か月前以降に作成されたもの)。精神障害を理由に障害年金を受給している方は、年金証書などで診断書に代えて申請できます。有効期限は2年で、期限の3か月前から更新手続きができます。就職活動の途中で期限が切れないよう、更新時期は手帳に書いてある日付で確認しておきましょう。
等級は就職にどう影響する?
結論から言うと、「等級が低いから応募できる求人が少ない」ということはありません。企業は障害の種類や程度を理由に募集から排除することができず(障害者雇用促進法の差別禁止)、応募資格は職務に必要な経験や能力で定めることになっています。
一方で、等級は企業側の制度に影響します。重度身体障害者(1・2級)と重度知的障害者は、企業の法定雇用率の算定で1人を2人分として数えられ、助成金の額も変わります。たとえば特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)では、中小企業が身体・知的障害者を雇い入れた場合は120万円、重度障害者や精神障害者などの場合は240万円(いずれも要件あり)とされています。これらは企業側の受け取る助成金であり、求職者の給与に直接関係するものではありませんが、「重度の方や精神障害のある方を受け入れる企業への後押しがある」ことは知っておくとよいでしょう。
手帳を取得するメリットと、迷う方へ
就職面のメリット
- 障害者雇用枠の求人に応募できる(配慮を前提に採用してもらえる)
- ハローワークの専門援助部門やトライアル雇用など、公的支援の対象になる
- 入社後の定着支援や、就労定着支援サービスを利用しやすい
- 一般枠で働く場合も、必要に応じて障害を開示して配慮を求める根拠になる
生活面のメリット(手帳の種類・等級により異なります)
- 税金の控除(所得税・住民税の障害者控除など)
- 公共交通機関や公共施設の割引、広島市の福祉サービス
- 医療費の助成(自立支援医療などと合わせて)
迷っている方へ
「手帳を持つと就職で不利になるのでは」と心配される方がいますが、手帳の情報は本人の同意なく企業に伝わることはありません。一般枠で働く場合に手帳を持っていることを伝える義務もありません。つまり、手帳を取得しても「使うかどうか」は自分で選べます。主治医や支援機関の担当者と相談しながら、生活と就職の両面で考えてみてください。
申請から交付までの流れと注意点
- 主治医(身体は指定医)に相談し、診断書を作成してもらう
- 写真・本人確認書類・個人番号がわかる書類を用意する
- 身体は各区役所厚生部福祉課、療育は区役所福祉課(判定機関での判定あり)、精神は保健センターへ申請する
- 審査を経て交付。交付までの期間は手帳の種類や時期によって異なるため、窓口で目安を確認する
広島市の各区福祉課障害福祉係の一覧は市の公式サイトに掲載されています。制度全般の問い合わせ先は、広島市健康福祉局障害福祉課(082-504-2147)です。
手帳の申請中でも求人相談は始められます
当センターでは、手帳を申請中の方や取得を検討中の方からのご相談もお受けしています。取得までの間に、必要な配慮の整理、希望する働き方の言語化、職場見学の調整などを進めておくと、交付後すぐに応募に移れます。登録フォームの「障害者手帳」の欄には「申請中」の選択肢がありますので、そのままご記入ください。
まとめ
障害者手帳は身体・療育・精神の3種類があり、広島市では申請窓口が種類ごとに異なります。等級によって応募できる求人が制限されることはなく、企業側の制度(法定雇用率の算定や助成金)に影響する仕組みです。手帳を取得しても使うかどうかは自分で選べますので、迷っている方は主治医や支援機関、当センターにご相談ください。
※制度の内容は2026年9月時点の公開情報にもとづいています。最新の手続きは広島市の公式サイトまたは各区の窓口でご確認ください。
この記事の内容について相談したい方へ
お仕事相談センター こんぱすでは、広島市の障害のある方の就職を無料でお手伝いしています。記事を読んで気になったことは、そのままご相談ください。
